施主のO夫妻との出会いは、宇治市での建築家展でした。
お二人の話をお聞きしていると、敷地は会場のすぐ近くで丘の上を造成中の場所でした。 工事予算は厳しいものの、建築への理解と住まいへの明確なイメージが私の家に対する考えにマッチしたのだと思います。 シンプル&モダンで外観は黒白の希望、私が敷地から受けたイメージにほぼ同じでした。 たまたま私自身の家をRC造で設計を進めていたこともあり、OさんへもシンプルなRC造案で提案しましたが、詳細設計を終え工事見積もりを出してみたら、残念ながら予算オーバー。 同じプランで、急きょ木造へ設計変更となりました。
広い玄関スペースの上、長さ3.35メートルのステンレス製アイランド式キッチンを中心にした、
リビングダイニングに家族友人が集う家です。
タイル業をされているご主人は、リビングダイニングの床から総てのタイル張りは自身でやって下さった上に、設備機器も直接購入して下さいました。
私の設計は内外ともにシンプルな形状と色合いが多いのですが、この細部の納まりが工事の出来不出来を左右するわけです。 工事担当者は熱心で丁寧な対応でこちらの意図も充分反映できました。
姉弟のお子様二人を含め、四人家族は明るく楽しい生活をスタートされています。
私は事務所を始めて20年以上になりますが、工事完了までお互い信頼しつつ、喜んでいただけまして設計者冥利につきると感謝しております。
写真家:スタジオポストモダン 泉幸男
田中幸実建築アトリエ http://www7a.biglobe.ne.jp/~ty-atelier/
田中幸実/Yukimi Tanaka
1969 (株)クボタ(鉄橋事業部橋梁設計課 入社
1975 渡米。建築の勉強を始める
1980 大沼設計事務所(東京) 入社
1985 安井建築設計室(大阪) 入社
1987 田中幸実建築アトリエ 設立
町田ひろ子インテリアスクール講師
兵庫県弁護士会 建築紛争専門員